ビフォーアフター社長日記

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第1ボタン:トレードオフ 7月8日 SHIPの朝礼

おはようございます。7月8日、SHIPの朝礼を始めます。

第1ボタンの掛け違いの始まり、瑕疵に気づかない瑕疵として、「詰め込みすぎ」があります。

顧客が「あれもこれも」と主張する場合もあれば、シップ側がよかれと思って「あれもこれも」とやってしまうこともあります。

「あれもこれも」のやっかいなところは、たくさん盛り込むほど、よい仕事をしているような気になってしまうことです。

しかし、世界を支配する原理原則には、「トレードオフ」という掟があります。

何かを得ようとすれば、別の何かを手放さなければならない。すべてを同時に最大化することはできない、という原則です。

伝えたいことを盛り込めば盛り込むほど、内容が充実し、相手にも価値が伝わるように思えます。しかし実際には、メッセージが増えるほど焦点がぼやけ、結局、何も印象に残らないことが起こります。

このことを象徴する、Appleの広告にまつわる有名な逸話があります。

あるとき、スティーブ・ジョブズは、新商品のCMに五つの異なるメッセージを盛り込もうとしました。

それを聞いた広告クリエイターのリー・クロウは、メモ帳から一枚の紙を破り、丸めてジョブズに投げました。

ジョブズは、その紙を難なくキャッチしました。

続いてクロウは、五枚の紙を別々にちぎり、それらを一斉にジョブズへ投げました。するとジョブズは一枚もキャッチできず、すべての紙が床に落ちてしまいました。

そこでクロウは、こう告げたといいます。

「これが悪い広告だよ」

一つのメッセージであれば、相手は受け取ることができます。しかし、あれもこれもと五つのメッセージを一度に投げれば、どれを受け取ればよいのか分からなくなり、結局、一つも届きません。

広告を作る側は、商品の魅力をよく知っています。

そのため、価格も、品質も、実績も、サービスも、会社の思いも、すべて伝えたくなります。しかし、広告を見る人が一度に受け取れるメッセージは、基本的に一つです。

大切なのは、「何を伝えるか」を増やすことではありません。

「最も伝えるべき一つは何か」を決め、その一つが確実に届くように、ほかのものを引くことです。

もちろん、顧客がどうしても「あれもこれも伝えたい」と望むのであれば、その要望をかなえること自体が間違いとは限りません。

しかし、その場合には、「メッセージを増やせば、個々のメッセージの強さは弱くなる」「幅広い人に伝えようとすれば、特定の人を強く動かす力は下がる」というトレードオフを、事前に説明しなければなりません。説明できるように練習しておかないといけません。

そして、予想される結果について、顧客とコンセンサスを得ておく必要があります。できなければ練習しておかないといけません。

たとえば、価格の安さを前面に出せば、手頃さは伝わりますが、高品質や高級感は伝わりにくくなります。

多くのサービスを一つの広告に並べれば、対応範囲の広さは伝わりますが、専門性は弱く見えます。

幅広い年齢層を狙えば、対象者は増えるように見えますが、誰にとっても自分向けではない広告になる可能性があります。

情報量を増やせば、説明は詳しくなりますが、読む負担が増え、離脱する人も増えます。

どのような仕事にも、必ずトレードオフがあります。

それが見えないのがアマチュアであり、それが見えるのが専門家です。勉強、練習をして、まずは専門家になろう。

さらにいえば、トレードオフが見えるだけでは十分ではありません。それを顧客に分かる言葉で説明し、何を優先し、何を犠牲にするのかを一緒に決めるところまでが、専門家の仕事です。

Webマーケティングにおいては、顧客よりも私たちの方が、トレードオフを見えていなければなりません。

顧客から「あれも入れたい」「この人にも伝えたい」「このサービスも目立たせたい」と言われたとき、言われたものをそのまま詰め込むだけであれば、それは専門サービスではなく、単なる作業代行です。

私たちは、「それを加えると何が弱くなるのか」「その選択によって、どのような結果が予想されるのか」を説明する必要があります。

そのうえで、顧客がトレードオフを理解し、それでも「あれもこれも」を選択するのであれば、その選択を実行すればよいのです。

問題なのは、説明しないことです。

成果が弱くなる可能性を認識しながら、それを顧客に伝えず、要望されたものをそのまま詰め込む。あるいは、私たち自身がトレードオフに気づかないまま、よかれと思って詰め込む。

そこをさぼると、第1ボタンを掛け違えたまま制作が進みます。

そして完成後に、「あんなにいろいろ打合せしたのに成果が出ない」「情報はたくさんあるのに何も伝わらない」という、瑕疵のあるサービスになります。

Appleの製品や広告の根底には、「シンプルさこそが究極の洗練である」という考え方が流れています。

シンプルな広告とは、情報量が少ない広告ではありません。目的に照らして、何を優先し、何を捨てるかが明確になっている広告です。

だからこそ、広告やWebサイトを作るときには、こう問いかけてください。

「この広告が投げている紙は、一枚だろうか。それとも五枚になっていないだろうか」

そして、五枚を投げるのであれば、一枚も受け取ってもらえない可能性について、顧客と合意できているだろうか。

トレードオフを見つけ、説明し、優先順位を合意する。

これが、Webマーケティングの専門家として、最初に掛けるべき第1ボタンです。

以上で朝礼を終わります。

2 コメント

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  1. 昨日コメントした下記とも通じます。

    >お客様の実態・目線に合わせ、テーマを絞ったり強弱をつけてお伝えし一緒に実行していく必要がある。
    >お金をいただいているので、もちろんご要望があればご要望に合わせて行うが、
    課題解決のための重要な原理原則はブラしてはいけない。

    サイトのFVも施工事例にもフォームにも役割があり
    浴室キャンペーンなどの反響獲得企画も
    次世代の認知形成をするWEBチラシ企画も
    イベント告知を行うイベント企画も同じ。

    各商品の役割・原理原則と、投資いただいた目的や各社の実態に対し、何がメインテーマか。
    限られた画面や文字数で何を視覚的に伝えていくべきか。
    何を選択し何を犠牲にすると因果関係からどのようになるか。

    この理解と仮説立てから選択がまずできるようになる。
    そしてお客様へ提案する勇気、押し付けではないコミュニケーションをし合意いただくスキル。
    そこから実際に選択した中でアドバンテージやベネフィットを強弱つけ言語化・視覚化するスキル。
    結果に対し選択・意図を説明し、また検証・アップデートしていけるA→Bの目利き力。

    ディレクションや広告企画やAIレポートを通じ毎日毎時間直面している課題であり
    足りないことだらけなので勉強、練習し、身につけていきます。

  2. おはようございます。
    本日もよろしくお願いいたします。

    「最も伝えるべき一つは何か」を決め、その一つが確実に届くように、ほかのものを引くこと。紙を一つ投げればキャッチできるが、五枚投げると一つもキャッチできない。
    お客様が伝えたいこと、提供するサービスを知り、ユーザー視点になった時、何を一番伝えるべきか。全て目立たせると結局何も伝わらないデザインになってしまう。
    デザイナーとして、ディレクターとお客様が決めた一番伝えたいことを言語化視覚化できるように、ディレクターとお客様の視点に立ち、セールスプロモーションの原理原則を元に作成する。その上でユーザー視点に立ち、自分のデザインを客観的に見られるようにします。

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