「本の知識が役立つのは30代まで。」というフレーズがバズっています。日頃読書を勧めているお勉強民としてはぎょっと耳が逆立つお言葉ですが、おっしゃっているのは御茶ノ水大学名誉教授で僕が学生の頃からご活躍の外山滋比古さんです。
「プレジデント」(2017年10月2日号)の掲載記事からもう少し長く引用すると「本の知識が役立つのは30代まで。40歳を過ぎたら本に頼らず、自分で考えることが必要です」になります。
「本が役に立つのは30代まで。そこから先は害があって益はなし。それよりボーッとして、空を眺めていたほうがずっといい。」
この真意は次の一節で説明されると思います。
「知識と思考力は反比例します。知識が多い人ほど考えない。知識を自分のもののように使っていると、物マネ癖がついてしまいます。若いときは知識を蓄えることも大事ですが、知識は10年も経てば必ず古くなる。」
古くなるのは知識ばかりではないということを最近の自分の失敗からも痛感しています。我が社では3年ほど前にいろんな問題を引き起こしていた「業務の受託見積」の不具合があったのですが、ルールを変えて徹底することで一度は解決していました。しかし昨年あたりから起こってきた問題の原因を探っていったら、まったく同じところに行き着きました。不具合が再発していたのは、「何故そういうことが起こっているのか?」を考えることよりも過去の「解決しているはず」を無意識に優先して、思考することを怠ってしまったからです。
会社は何のためにあるのか?
人は何のために生まれてきたのか?
「ボーッとして」考えられるのはそんなことくらいしかありません。そういえば、スターウォーズ最後のジェダイでも、悩めるジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを覚醒させるために、賢者ヨーダは「聖なる書物」に火を放っていました。「本の知識が役立つのは30代まで。」とおっしゃっている外山先生はヨーダなのでしょう。
この言葉はますます情報が氾濫していく時代における真の知恵なのだと思います。
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