ビフォーアフター社長日記

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理念ドリブンな組織を目指す


少し古い話になりますが、2020年9月27日に最終回が放映された「半沢直樹」は平均世帯視聴率32.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、テレビの世帯視聴率としては2013年の前作最終会以来の30%越えを記録しました。新シリーズでは、実際にあったJAL再生を思わせる巨大航空会社の経営再建をめぐる金融機関への債権放棄養成と銀行内の権力闘争と私腹を肥やす政治権力という構造で展開して、半沢直樹の倍返しで溜飲を下げるという、勧善懲悪物語でした。

実際のJAL再建はどうだったかというと、半沢直樹に描かれた以上の社内利権がはびこる中、生産性が下がり赤字が常習化していました。2010年1月に会社更生法を適用、翌月京セラ創業者の稲盛会長が政権に請われてJAL会長に就任し、アメーバ経営を導入し、不採算路線からの撤退、金融機関の債権放棄や希望退職、企業年金カットや同業のANAよりも低い水準への給与の切り下げを行いました。結果として2010年3月期(2009年4月~2010年3月)には
1337億円の営業赤字から2012年3月期(2011年4月~2012年3月)には2049億円の営業黒字を計上するというV字回復を達成し、再上場も果たし新型コロナ感染症前までは順調な業績を上げていました。

何故こんなことが起こったんでしょう?

と徒然に考えてみました。

#正解ではないよ
#自分で考えてみよう

企業再生レポートではないのであえて単純化しますと、稲盛会長が持ち込んだアメーバ経営のマネジメントにより、会社を捉える単位が細分化されることによって、自社の営業活動の解像度があがり、他人事だった会社の経営が自分事になっていき、自分でできることは何かという意識改革が進んだのだと思います。不採算路線の撤退は経営マターですが、賃金カットや年金等社会保障のカットは自分事ですので、現場に受け入れる素地ができていないと、どんな名案も空論にしかなりません。顧客にサービスを提供して、お金を払ってもらって、その一部が給料になるというアメーバのサイクルを理解してはじめて、様々なリストラを受容できたのだと思います。


中小零細企業に置き換えて考えてみます。

ほとんどの中小企業の課題は、収益改善です。企業だから当然といえば当然です。経営者は四六時中このことを考えています。売上を安定的にあげるようにするには、営業活動のフレーム化を行うことが第一歩です。

例えば、広告反響営業中心の商談成約

フレームの精度を上げるのは、

顧客の気持ちを推し量る洞察力です。「今どんなものが必要とされるのか」「どんなメッセージが伝わるのか?」「競合他社ではなく自社に注文が来るためにはどうしたらいいのか?」、これは経験や知見のある人による研修等で補うことが可能です。しかし、同じ経験をしても同じ研修を受けても、一定の伸びで止まる人が多いのも事実です。この先に何があるのでしょうか。

それは「理念」です。「理念」に裏打ちされた言動からは、顧客は「理念」を感じ取ります。多くの会社の理念はシンプルで「顧客第一」的なことが掲げられています。「顧客第一」の意味は、「仕事とはモノやサービスを提供する」にとどまることではなく、「モノやサービスの提供を通じてお客様に喜んでいただく」のはずです。そしてそれが長い歴史の中で企業が存続できた唯一の法則だからです。


JALの再生は稲盛会長がアメーバ経営を通じて、役員・幹部・従業員に、仕事の背景に「理念」を置くことを定着させたから実現できたのだと思います。顧客に選ばれる企業になるには、顧客に選ばれる理由が必要で、その根幹を為すのが行動規範である「理念」なのです。新型コロナ感染社数が増加して、経済全般に影を落とし始めましたが、奇策はありません。半沢直樹のような真剣さで「理念」に基づいた行動をしていくのみだと思います。


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