おはようございます。4月14日SHIPの朝礼を始めます。
ビジネスの世界では様々な思考法が活用されていますが、その中でも「テンプレ思考」と「フレーム思考」は明確に異なる特性を持っています。学びの初期段階ではテンプレ思考が有効であり実際に広く教育に用いられていますが、実務の現場で継続的に成果を上げるには、テンプレ思考からフレーム思考への進化が不可欠です。本記事では、両者の本質的な違いを解説し、なぜプロフェッショナルへの成長過程でフレーム思考が重要になるのかを明らかにします。
テンプレ思考の役割と限界
テンプレ思考とは、既存のテンプレートに要素を入れ替えるレベルの思考法です。この思考法は学びの段階に応じて異なる役割と限界があります。
テンプレ思考の初期的価値
- 学習の入口: 初学者が基本を理解するための最適な導入方法
- 基本の習得: 因果関係や基本構造を理解するための足場掛け
- 教育効率: 教える側も最初はテンプレで指導することで効率的に基礎を伝えられる
- 共通言語: チーム内で同じ枠組みで考えるための基盤を提供する
しかし、テンプレ思考には明確な限界があります。それは自動車教習所で練習し続けているだけでは、実際の道路で様々な状況に対応するドライバーにはなれないのと同じです。
テンプレ思考の実務的限界
- 現実との乖離: 「同じ業種だから同じ解決策」という誤った前提に基づいている
- 応用力の欠如: 想定外の変数が発生した際に対応できない
- 成長の停滞: テンプレ段階から脱却できなければ、真のプロフェッショナルになれない
- 顧客固有性の無視: 各社様とも課題発生の条件が異なるという現実を見落としがち
学びの段階とテンプレ思考の位置づけ
ビジネススキルの習得過程において、テンプレ思考は重要な役割を果たします。
- 導入段階: 初学者は必ずテンプレを通じて基本を学ぶ
- 教育現場: 教える側も最初はテンプレを用いて因果関係を説明する
- 基礎訓練: 自動車教習所のような管理された環境で基本スキルを習得する
- 安全な実験: リスクの少ない環境で試行錯誤できる
しかし、ここで重要なのは「テンプレ思考はあくまで通過点である」という認識です。イロハを学ぶときはテンプレで説明することが多いのは事実ですが、そこから脱しないと実務では通用しません。
フレーム思考の実践的価値
フレーム思考は、プロセスや基本要素、相関関係などの「型」を理解した上で、個別の状況に適応させる思考法です。テンプレ思考から進化した形として、以下の特徴があります。
フレーム思考の本質
- 状況適応力: 各顧客固有の課題発生条件を理解し、オーダーメイドの解決策を提供できる
- 本質の理解: 表面的な共通点ではなく、問題の根本的な構造を把握している
- 協創的アプローチ: 顧客と共に考え、その特殊性を踏まえた解決策を生み出せる
- 進化する思考: 経験から学び、フレームワーク自体を状況に合わせて発展させられる
グロービス経営大学院によれば、「フレームワーク思考とは、フレームワークを用いて情報を整理し、意味合いを考える思考法」ですが、それは単なる型の適用ではなく、型を理解した上での創造的な応用です。
初学者からプロフェッショナルへの成長過程
テンプレ思考からフレーム思考への移行は、初学者からプロフェッショナルへの自然な成長プロセスです。
1. 習得段階(テンプレ思考中心)
- テンプレを通じて基本原則を学ぶ
- 教科書的な状況で練習する
- 指導者から因果関係を説明してもらう
- 定型的な課題に取り組む
2. 移行段階(テンプレとフレームの併用)
- テンプレの限界に気づき始める
- 実務での例外ケースに遭遇する
- テンプレを柔軟に修正する試み
- 個別状況への適応を意識する
3. 習熟段階(フレーム思考中心)
- 基本原則をベースに状況に応じた対応ができる
- 顧客固有の文脈を重視した解決策を提案できる
- 「同じ業種でも条件が異なる」ことを前提に考える
- テンプレを超えた創造的解決策を生み出せる
両思考法の本質的な違い
テンプレ思考とフレーム思考の本質的な違いは以下の通りです。
1. 現場対応力
- テンプレ思考: 理想的な条件でしか機能せず、個別の状況変化に対応できない
- フレーム思考: 各顧客の固有条件を理解し、その場に最適な解決策を創造できる
2. 問題理解の深さ
- テンプレ思考: 「この業種だからこの解決策」という表面的なパターンマッチング
- フレーム思考: 「なぜその問題が発生するのか」という因果関係の深い理解
3. 成長の可能性
- テンプレ思考: イロハを学ぶ段階で停滞し、それ以上の進化が困難
- フレーム思考: 経験を通じて常に学習し、思考の質を高め続けられる
4. 価値創造の差
- テンプレ思考: コピー&ペーストの代替可能な価値しか提供できない
- フレーム思考: 顧客固有の文脈に適応した、代替不可能な価値を創出できる
現実世界で活躍するための思考法の進化
ビジネスの現場では、教科書通りの条件が揃うことはほとんどありません。各顧客には固有の課題と条件があり、それを「普通のこと」として受け止め、対応する能力が求められます。
- 教習所と実道路の違い: 学びの場と実務は根本的に異なる環境である
- 顧客固有の文脈: 同じ業種であっても、各社の歴史、文化、人材構成は大きく異なる
- 問題の進化: 同じように見える問題でも、時間経過とともに性質が変化する
- 創造的解決の必要性: 前例のない問題には、前例のない解決策が必要となる
テンプレ思考からフレーム思考への移行を促す実践法
初学の段階ではテンプレ思考で学んだ後、いかにフレーム思考へと移行するかが重要です。
- 意識的な脱却: テンプレ思考は初期段階の学びには有効だが、そこから脱却する意識を持つ
- 現場での学び: 教科書的な知識を超え、実際の顧客と向き合い個別性を理解する
- 失敗からの学習: テンプレが通用しなかった経験を分析し、フレームを強化する
- 本質への問い: 「なぜ」を繰り返し、表面的な共通点の背後にある構造を理解する
- 多様な経験: 様々な業種、規模、課題に取り組み、フレームの応用範囲を広げる
まとめ
テンプレ思考は学びの初期段階では不可欠であり、教える側も教わる側も最初はこの形で基本を習得します。自動車教習所でまず基本を学ぶのと同じように、ビジネススキルの習得においてもテンプレ思考は重要な出発点です。
しかし、実務の世界で継続的に成果を上げるためには、テンプレ思考から脱却し、フレーム思考へと進化することが不可欠です。それは教習所から実際の道路へと出て行くドライバーが、標準的な技術から応用力のある運転へと移行するのと同じプロセスです。
各顧客の状況は必ず異なり、それを「当たり前」として受け止め、個別に適応できる能力こそが、継続的な価値創造の源泉となります。テンプレを学んだ後、いかに早くフレーム思考へと移行できるかが、プロフェッショナルとしての成長の鍵なのです。
以上で朝礼を終わります。