仮説思考とデータ活用その2:データ分析の正しい順序
おはようございます。3月14日SHIPの朝礼を始めます。
「データから原因を探る」アプローチの限界
前回の「仮説思考とデータ活用」では、仮説検証フレームでデータを読むことで、データが有効なアクションに至る情報になると説明しました。今回は、その逆のアプローチ、つまり「データから原因を探る」方法の限界と、協働的な仮説検証の価値について掘り下げていきます。
多くの現場で見られる光景があります。Excelに数値を広げ、グラフを眺め、何かの法則性や相関関係を見つけ出そうとする姿勢です。「データを見れば何かが見えてくるはず」という期待のもと、何時間もデータと向き合い、何らかの「発見」を得ようとする努力は、残念ながら多くの場合、徒労に終わることになります。
そして、期限に迫られると、無理に原因を導き出そうとします。「このセグメントで5%の上昇があった」「このページでの滞在時間が伸びている」などの観察結果から、強引に因果関係を構築するのです。しかし、これらはその場の思いつき程度でしかありません。
なぜデータからの「発見」は難しいのか
ビジネスの結果に至る要因は多数存在します。市場環境、競合の動き、消費者心理、季節要因、さらには私たちが予測もできない社会的出来事など、把握しきれない変数が無数にあります。こうした複雑な環境下で、数字の羅列から真の原因を特定することは、ほとんど不可能と言っても過言ではありません。
たとえば、ある日突然Webサイトへのアクセスが急増したとします。これを喜ぶ前に、その原因を理解する必要があります。競合サイトの障害?SNSでの話題化?広告の偶然のヒット?自社の施策の成功?それとも単なる季節要因?データだけを見ていては、こうした本質的な理解には至りません。
クライアントとの協働的な仮説検証の価値
より効果的なアプローチは、最初にクライアントと仮説を共有し、その意図に合意した上で、一緒に実行して検証するというプロセスです。このアプローチには、いくつもの利点があります。
まず、クライアントの現場のノウハウや知見を取り込みながら進行できます。データ分析者が見落としがちな業界特有の要因や、過去の経験則などが加味されるのです。
また、出てきた結果に対しても、クライアントは現場の情報を加味して検証してくれます。「この数字の上昇は、実は先週の特別イベントの影響が大きい」といった、データだけでは読み取れない文脈を提供してもらえるのです。
未来志向のデータ活用
人間には、未来をより良くしたいという根源的な欲求があります。過去のデータは、その未来を良くするための材料として初めて価値を持ちます。
仮説検証フレームの中で、テーマを絞り込み、解像度を上げ、未来を仕掛けていく—このアプローチこそが、データ活用の本質です。「このターゲットに、このメッセージで、このタイミングでアプローチすれば、購買行動が促進されるのではないか」といった具体的な仮説のもとでデータを分析することで、明確なアクションプランが生まれるのです。
生成AIとの向き合い方
この文脈で考えると、昨今注目されている生成AIの活用法も明確になります。生成AIは、仮説検証フレームのもとでのみ、その真価を発揮します。
例えば「過去の顧客データから、どのようなセグメントがキャンペーンに反応しやすいか」という漠然とした問いかけではなく、「30代女性向けの夏季キャンペーンにおいて、過去のデータから見る限り、どのような訴求ポイントが効果的だったか」といった具体的な仮説に基づく問いかけをすることで、AIは有用な示唆を提供してくれるでしょう。
一方、過去データを食わせて不明瞭な指示をすると、結果は散々なものになります。ハルシネーション(幻覚・妄想)だらけの使い物にならないデータが出力され、「AIって使えないね」と結論づけられてしまう—これは、AIにとっても、それを導入した企業にとっても、不幸な結末です。
まとめ:仮説先行型のデータ活用へ
データ活用において大切なのは順序です。まず仮説ありき、そしてその検証のためにデータを活用する。この順序を守ることで、データは単なる数字の羅列から、未来を切り拓くための道具へと変わります。
クライアントとの協働的な仮説検証プロセスを通じて、データの解釈に現場の知恵を取り入れ、より実効性の高い施策を導き出していく—このアプローチこそが、真に価値あるデータ活用の姿ではないでしょうか。
未来へのアクションを導く仮説を立て、それを検証するためのデータ活用を。それが、ビジネスインテリジェンスの本質です。
以上で朝礼を終わります。
2025年3月14日 at 8:25 AM
おはようございます
>>「データを見れば何かが見えてくるはず」
現在もこの癖がありますが、実行してしまっていることです。
出てくる結果は、適当な思い付き。
発見は何もない状態というのは理解できますが繰り返してしまう。
なぜか?記載してある内容の通り、
考えることが面倒なので、目の前にあるわかりやすいことを実行してしまうから。
強引に因果関係をでっち上げてします。
把握できない因数を勝手に想定して、決めつけ、当てはめをしてしまいます。
共同プロジェクトとなるように、
しっかり目線を合わせて、正しい仮説検証のプロセスを繰り返し
よりよい未来を創り出して行けるパートナーとして成長していきます。
2025年3月17日 at 9:29 AM
今から未来を考えるので「因」から考え「果」を想定し、「因果」を検証する
「因果」情報が一定量あると、その中で逆の想定もできる
「因→果」が先である
2025年3月14日 at 9:03 AM
おはようございます。
本日もよろしくお願いします。
仮説→検証がデータ活用をするうえでだいじなこと。数字と睨み合うことに意味はなく、それを裏付けるための仮説を立てて、検証を繰り返すことが重要だと分かりました。
その上で、AIに仮設を立ててもらったり、今はoperatorでの検証も可能かと思います。AIをサポートとして活用することで、仮説→検証のスピードも上げつつ、未来を切り開いていくのも1つのイメージとして持っておきます。
2025年3月17日 at 9:31 AM
時分の仕事に具体的にあてはめて考えるといいですよ