「チェック強化」に逃げない。まず“正しい問題”を定義する
導入:チェック強化に潜む“安心感の罠”
職場でエラーやトラブルが起こった際、「対策としてチェック体制を強化します」となりがちです。ダブルチェック、トリプルチェック、チェックリストの項目追加――一見すると真摯な反省と迅速な対処に見えますが、実行側にとっては原因の根本分析を避けられる“楽な発想”でもあります。
なぜ袋小路に陥るのか:形骸化のメカニズム
増やされたチェックは一時的には機能します。しかしやがて「作業のための作業」へと変質し、集中力の限界や慣れで見落としは再発します。根本原因が放置されるため、チェックの網をすり抜けた同質のエラーが繰り返され、最終的には「忙しいのに無駄だ」という空気が生まれ、チェックは簡略化され、元の状態に逆戻りします。
本当の課題は何か:課題を見誤ると対策は空転する
「チェックが足りない」のではなく、「エラーを生む構造(システム)が見えていない」ことこそが課題。
私たちは自分の担当という「点」に意識が偏りがちです。多くのエラーは、プロジェクトの目的が抜け落ちたり、意図が次工程へリレーされない“意図の断絶”から生じます。
ダブルダイヤモンド思考:解決策より先に「正しい問題」を定義
How(どうやるか)に飛びつく前に、What(何を解くか)を徹底定義することが重要です。「エラーが起きた→チェックを増やす」は、課題定義プロセスの省略にほかなりません。
目線を上げる訓練:「点」ではなく「線」を見る
自分の作業(点)だけでなく、前工程と次工程までを見通し、仕事全体(線)をシミュレーションする習慣をつけます。
前工程を確認する観点
- どのような目的で、どんな情報やモノを受け取っているか?
- 曖昧さや不足はないか?(あればエラーの温床)
次工程を設計する観点
- 自分のアウトプットは次工程で何の目的に使われるか?
- 次工程の人が目的を達成しやすくミスをしにくい形になっているか?
小さな事例:入力ミスはどこで生まれているか
「入力後のチェックを厳重にする」は目線の低い“点”の対策です。前工程の指示書の目的が曖昧で解釈がブレているのかもしれません。次工程でシステム連携に特定形式が必要なら、入力段階で入力規則を設定して揃える仕組みを導入すべきです。
このように前後の工程まで見通すと、なぜそこでエラーが起きるのかというシステム上の欠陥が見えてきます。欠陥を潰すことが本当の対策であり、結果としてチェック作業そのものを大幅削減できます。これこそが真の生産性向上です。
「鳥の目」と「虫の目」をチームで持つ
現場は細部の積み重ねです。重要なのは、鳥の目(全体の目的・流れ)と虫の目(細部の実行・気づき)の両立。
- マネージャー/リーダー:鳥の目で流れと構造的問題を見立てる。
- 担当者:虫の目で具体的な実行と現場の気づきを上げる。
- 頻繁なコミュニケーション:両者の視点をすり合わせ、「チェック強化」という安易な精神論から脱却する。
今日からの実践チェックリスト
- 目的の明確化:この作業は何のためかを一文で言えるか。
- 前工程の合意:入力条件・定義・例外ルールは合意されているか。
- 次工程の最適化:受け手が使いやすい形式・命名・粒度になっているか。
- 仕組み化:入力規則・テンプレート・自動化で“人の注意”に依存しないか。
- 振り返り:エラーを「注意不足」扱いで終わらせず、構造欠陥を一つ潰したか。
締め:エラーは“意図の断絶”を知らせるシグナル
エラーは注意不足だけで起きるのではありません。仕組みの不備や意図の断絶が発するシグナルです。今日から目線を一段上げることで、より良いシステムへ改善していきましょう。
2025年11月7日 at 8:45 AM
おはようございます。
本日もよろしくお願いいたします。
早く課題解決をしなければと、チェック工程を増やすという対策になってしまうことが多く、結果チェック工程を増やしてもやらなくなってしまったり、チェック自体が作業となってしまい、問題解決がされずに意味がない状態でした。
先日斎藤さんからも同様のFBがあり、自分の中で課題解決がされたように感じていたものの、1年前から同じ課題があるということからも、根本的な解決はできていないということに気づきました。
工程のルールや仕組みの理解、また制作の目的など、目線を上げるためのチェックリストもとに、根本の考え方から変え取り組むこと。またチームのカルチャー、特に勝ち癖カルチャーのプロとしてお客様に喜んでいただく意識、があれば制作時点で防げることもたくさんあります。
ダブルダイヤモンド思考から、正しい問題・解決法を見つけ、課題の本質を理解し、改善策に取り組むこと。また、私の立場から、鳥の目(PMと同じ視点)と虫の目(オペレーションレイヤーの視点)どちらも持ち、目線を上げることでチームに貢献していけるようにいたします。
2025年11月7日 at 9:19 AM
コメントありがとう
言語化(イマココ) → 実践 → 評価
頑張ってください