おはようございます。9月19日SHIPの朝礼を始めます。リフォーム産業フェアスタッフの皆さん、2日間ありがとうございました。㈱シップの認知が上書きされ、また多くの人との出会いもあったと思います。
さて今日は『「風の谷」という希望――残すに値する未来をつくる』(安宅和人 著)を紹介します。この書籍は1000ページ近くもある大著ですが、実はまだ400ページくらいしか読めていませんが、若い人にこそ、時間をかけてでも一読をおすすめしたく、フェアも終わったひとときに、ほんの一部ではありますが紹介させていただきます。
「風の谷」とは何か
そもそも「風の谷」って何だ?と思われることでしょう。この本の「はじめに」から、そのきっかけになる問題意識が述べられています。
「このままでは、都市にしか人が住めない未来が来る。 数十年後、主要国では人類の9割以上が地球表面の 1割にも満たない都市空間に集中し、残りの広大で、豊かな歴史を持ち、人類の文化の多くを育んできた場所に人が住めなくなってしまう。私たちはそんな未来を次世代に残したいのだろうか?『風の谷をつくる』プロジェクトは、この問いから始まった。本書は、 7年間にわたる探求から生まれた知見と洞察をまとめたものだ。」
「風の谷≠都市」はなんとなくわかりますが、この図表を御覧ください。

このままでは右下の都市にしか持続可能性がなくなってしまい、都市の補完として左上の「リゾート」は維持されるであろう。左下の多くの地方都市は「さびれた地方都市」として衰退していくであろう。それに対して、右上に位置するのは「自然となじみ・美的刺激」があり、「ダイナミックな知的生産・多様な集まりと出会い」のあるゾーンである「風の谷」という設定です。
「なるほど!」とピンとこない方が普通です。著者はこのような引用もしています。
〝(核時代において)人類が生き残り、より高いレベルに向かっていくには、新しいタイプの思考が不可欠だ。〟──アルバート・アインシュタイン
これは核爆弾というまったく新しい桁違いに強力な兵器が生まれた世界においては、それまでとまったく異なる思考が必要だと訴えたアインシュタイン博士の言葉だ。」
展開の骨子(要約)
この書籍そのものが「新しい思考」なのだと思います。展開の骨子は下記であり、それぞれボリュームたっぷりですので読んでいただきたいのですが、
「解決すべき課題は大きく以下の4つであることが見えてきた。
- エコノミクス:空間維持のコストがそこから生み出される価値よりも大きい状況を脱し、良循環が回るようにすること
- レジリエンス:地球との共存、逆スケーラブル問題から必然的に求められる、変化への対応力をもつこと
- 求心力:才能と情熱が際限なく都市へ流出してしまう状況を脱するための基礎要件の整備と、都市に対抗しうる土地ならではの魅力を持つこと
- 文化と価値の創造力:谷を革新し、新しく面白い価値を持続的に生み出す能力を持つ空間であること
現状把握の例:海士町(エコノミクス)
その前に「現状把握」をしないと興味の「起点」に立てないかと思います。1エコノミクスの説明として、地方創生の取り組みでは全国的に有名な山口県海士町の財政事情について、取り上げられています。

「年間予算は約59・2億円だが、税収は2・2億円、自主財源の総和でも7・3億円。自主財源による補充率は12・3%に過ぎない。足りない部分は、国からもらい、県からもらい、さらに国からもらい、それでも足りないので町債という形で未来からもらっている。大半が都市と未来からの輸血であるということだ。ちなみに公債払いは金利込みで新規発行分よりやや多いので、当面の現役層および、これからの世代が担う借金は有意に減っているとはいえない状況だ。エコノミクスが自律的にはまったく回っていないのだ。簡単に言えば公費100万円を突っ込んで、公に戻ってくるお金は12・3万円に過ぎない。1割強しか戻らないということだ。仮に国と県からの依存財源が安定して入ってくるとみなしても、100万円を入れて78万円しか返ってきていない。町の運営自体が完全な赤字事業なのだ。なお他の年の収支を見るとむしろこの年は改善基調にあると見受けられ、比較的財政の良い年でもこうだということだ。」
家計にたとえると
「みなさんが仮に年に600万円のお金を使う家庭だとしよう。そのうち、本当の収入が75万円、町の有志からの寄付が425万円、100万円が未来の自分や、仮に払いきれない場合、子や孫の代にまで受け継がれる借金だとしたらどうだろうか。残念ながらこれが現在の多くの疎空間経済の実態だ。」
「風の谷」と村おこしの違い
「風の谷と村おこしの違い『いわゆる〈村おこし〉ですか』と言われることもある。『村興し』という字義どおりに捉えれば、その一種だということは否定しないが、現在、村おこしと言われる活動の多くは、立派な駅や公園、建物づくり、ショッピングモールや大型イベントの呼び込みのように、大がかりな工事を行い、村(地域)の中に立派な施設を作る、多くの人が集まる場所を作る、局部的・時限的な都市化を目指すものだ。いずれもある程度の価値があることを否定はしないが、数百年、数千年の歴史を持つ空間の存続可能性から考えると、リスクの高い一過性の取り組みが大半といえる。
一方、風の谷づくりは、村に大量の人を呼び込む、なかば都市の方向ではなく、現在のコミュニティの維持以前に、その空間の『疎空間』としての価値を大切にすることを前提とした解の探求だ。数百年以上にわたって『回る』系づくりのために、何が方向性として大切なのかを見極め、その疎空間らしい空間価値をどのように生み出せるのかを考え、仕込んでは見直し続ける活動だ。
大きな施設づくりは稀に行うことはあるかもしれないが前提としない。また、コミュニティの維持が主語であれば、古くは氷期、近現代ではダム建造時に行われてきた移住などなんでもありだが、そこに逃げることはしない。『谷』づくりは疎空間を疎なままで使える空間にする答えを探る、長く長く続く活動だ。繰り返しになるが、これまでの人類は人口集積しか持続性の高い答えを持っておらず、逆に都市とは異なる系を作ることを目指す取り組みだ。」
何か刺激になりましたか?
以上で朝礼を終わります。
“`
2025年9月19日 at 9:28 AM
おはようございます。
最初に「風の谷」と聞いたときは、ありのままの穏やかな自然しか想像できませんでしたが、例として出てきた地方の現状を知ることで、都市だけに人が集まる未来には問題があると気づきました。施設を作るような一時的な取り組みでは未来の子や孫に負担を残してしまう現実があり、「自然や人とのつながりを大切にしながら長く続く価値をつくる考え方」が、今を生きる人々には必要だと感じました。
仕事に置きかえると、早く結果を出すことも大切ですが、それ以上にコツコツと積み重ねて未来につながる働き方を意識することが大事だと思いました。まだできることは少ないですが、この学びを胸に、日々前向きに取り組んでいきます。
2025年9月19日 at 3:29 PM
今日はいつもと違うタイプの記事ですが、たまにはこのような情報も頭にいれて、白川さんのような理解をすると、思考の幅が広がると思います
日々前向きに!