キングコングの西野さんの絵本えんとつ町のプペルは2020年10月時点で50万部売れているそうです。この数字だけ聞いてもピンとこないと思いますが、絵本は一般的には5,000部売れれば大ヒットらしいので、もはや絵本の領域を大きくはみ出していることがわかります。
何故こんなことが起こせるんだろう?
つれづれに考えてみました。
#正解ではないよ
#自分で考えてみよう
いくつかの要因があると思うのですが、
ひとつめの候補
西野さんが芸能人だから
知名度があって、ファンがいたから
これはNoではないでしょうが、全体が100だとするとウェイト5くらいの要因だと思います。芸人の西野さんが好きでも、西野さんの絵本を買う人は限定的だと思います。お笑いの世界観と絵本のファンタジー感もかけ離れています。
ふたつめの候補
作品が良かったから
これは100のうちの25くらいはあるかもしれませんが絵本が売れる理由としてはマスト条件です。しかし絵本作品が良くても、「はらぺこあおむし」や「おおきなかぶ」を差し置いて、えんとつ町のプペルを買う理由は大きくはありません。
みっつめの候補
マーケティング施策が良かったから
それはそうなのですが、そのひとことで済ますと「売り方がうまいね」で一瞬で終わって、自社への置き換え応用しようとしても、「自分は芸能人じゃないし」「絵本は描く気はしないし」で終わってしまって、「特殊な要因が重なった、きわめて特異な事例」という理解になってしまいます。単にそれではもったいないなと思います。
それでは絵本えんとつ町のプペルが絵本の常識を超えた販売を続けていることの僕なりの理解を申し上げます。
西野さんは絵本を作りましたが、
同時に「届ける」ことまで常に考え、そのための手を尽く続けているからだと思います。
誰が絵本を買うか、その人はどうやって絵本の存在を知るか、その人が買おうと思うときはどんなときか、そのように想像していくと、絵本は親が子供に買い与えたり、読み聞かせするものなので、知っている物語の方が安心できます。はらぺこあおむしが売れる理由は内容を知っているからです。その論理のもと、西野さんは絵本の内容をネットに公開しました。これは旧来の価値観からすれば反逆的なことですが、買い与える人の立場を考えると自然なことです。これにより内容を事前に知った親はこの絵本を買いやすくなりました。
また、えんとつ町のプペルのけむりがもくもくで空が見えない町という設定は現代と似ていますし、人と違うことを主張するといっせいに群がって批判さえる世界も現代にそっくりです。また挑戦しようとして叩かれている登場人物は西野さん自身と重なっています。そのような
絵本と現実のパラレルワールドの構造をオープンにして、「エンタメで世界を獲る」と挑戦し叩かれてなお前進する西野さんに共感は集まり、2020年10月現在で7万人いる有料のオンラインサロンのメンバーを中心に絵本を購入するムーブメントが現在進行形で起こっています。中には何冊も購入している人も少なくないと思います。一冊2000円の絵本を買うことが、その物語(ストーリー)に参加することであり、それ自体がエンタメになっているのです。
さらにこの絵本はオンラインサロンの外にも広がっていきます。その仕組みがギフトです。西野さんに共感して絵本を好きな人は、この絵本をどこかの子供に贈る仕組みにも参加していきます。
絵本が子供に買い与えるものから、
著者に共感して買うものにもなり、さらに実際には知らない子供にも贈るものになっていきました。これを西野さん自身「意味変(いみへん)」と呼んでいますが、意味変を次々に起こして、作ったものを「届ける」ことを加速しているのです。
下記のように置き換えると、自分のビジネスや生活にもプラスになるかもしれません。
1)「価値を作る」から「作って届ける」に発想を継ぎ足す
2)買う人の気持ちを想像して、買わない心の障壁を取り除き、届ける
3)理念を追求する行動を物語(ストーリー)化して、参加してもらう
4)ギフト(贈り物)仕様の商品を作り、届ける喜びの輪を広げる
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