大型台風マンクット(マンゴスチン)の進路に関しては気にはしていたものの、9月16日、香港でシグナル10の台風に遭遇することになりました。シグナルは警戒レベルを表しており、シグナル3で幼稚園などは休園になり、シグナル8で学校も会社も休みになりますので、その2ランク上のシグナル10は厳戒レベルのハリケーンと呼ばれ、外出厳禁になります。ホテルの部屋にいると雷のような音がずっと聞こえていたのですが、風が凪いだときに外に出てみるとビルの看板や道路脇の植え込みなどが散乱していて、音の正体はこれらが台風で飛ばされて起こしたものだったことがわかりましたし、外出禁止の意味もよくわかりました。
翌月曜日は日本では祝日でしたが、香港は平日です。所定の用事を済ませてから見に行ったのは西九龍駅でした。2012年の弊社の創業記念日に社員旅行で来た頃に「ここに北京までつながる高速鉄道の駅ができる」と説明されたことを覚えていますが、その開通が来週23日と間近に迫っています。中国の西に拡張していく一帯一路構想については、日本でもよく報道されます。それに対して、広州や深センを含むこの一帯はもともと経済的にも豊かなのですが、さらに香港・マカオという一国二制度で繁栄してきた地域も含めて、粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)構想が展開されています。
現在、アジアトップの経済圏は東京ベイエリアで人口は4400万人、域内GDPは約2兆ドルです。それに対して粤港澳大湾区は人工6900万人、現在のGDPは約1.6兆ドルですが2025年には2.8兆ドルに成長する見通しです(HSBCレポート)。この経済発展と比例して、中国人の超リッチ層がますます増えていくことでしょう。
すでに日本にもその影響は現れています。昨年の沖縄県の2017年の入域外国人観光客数が254万人とハワイをそれを超えました。その中で香港人が約1割、中国本土は約2割を占めます。台湾と韓国がそれぞれ約3割と2割ですので、この4地域だけで全体の8割になっています。面白い現象としては、沖縄のお土産として、2万円~3万円もする高価な夕張メロンが人気になっているのだそうです。海外からみれば、日本ローカルであることが重要であって、必ずしも沖縄ローカルである必要はないのでしょう。そのうち沖縄の土産物売り場に青森りんごやとちおとめ、飛騨牛や東京エックスなどが並んでいることを僕たちも何とも思わなくなるでしょう。
これからのビジネスについては、台風の進路のみならず、世界地図を上から眺めて、どこから人がやってくるのか、どこに人がいるのか、需要の進路を考える必要があります。シグナル10の大型需要の発生が見えてくるかもしれません。
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