Tweet

おはようございます。5月8日SHIPの朝礼を始めます。NHK朝ドラをみて「いいな」と思ったのでアンパンマンネタです。その前にアンパンマンのマーチ。（一青窈さんもカバーしてますね）

　
音声はこちら

　
「そうだ うれしいんだ 生きる よろこび」。<アンパンマンのマーチ>の冒頭は、アンパンマン自身の名刺のような一行です。「誰かの役に立つことこそ人生の歓びだ」と、彼はまず宣言します。本稿では、その背後にいる作者・やなせたかし氏が込めた“核心メッセージ”を、歌詞と物語の両面から三つの視点で解説いたします。

1. 正義は立場で変わる――だから「助け合い」だけが不変の価値です

やなせ氏は戦時下で「きょうの正義が、あすには悪へと転じる」という不条理を体験されました。そのなかで到達した答えが、「困っている人を助ける行為」だけは、時代や立場が変わっても価値が揺らがないという極めてシンプルな規範でした。
歌詞の「なにが君のしあわせ」という問いは、相対的な正義よりも“目の前の相手”を起点に考えるよう促しています。ビジネスに置き換えれば、イデオロギーや流行より「顧客の困りごと」を最優先に据える思考と重なると言えるでしょう。

2. 空腹を癒やすことがヒーローの第一歩です

アンパンマンが戦う前にまず実行するのは「顔をちぎって食べさせる」ことです。これは、戦中戦後の飢餓を生き抜いた作者が「飢えを満たすことが最優先の正義」であると実感された結果です。
歌詞の「たとえ 胸の 傷が いたんでも」は、利他行為には痛みが伴う現実を示しつつ、「それでもなお行う価値がある」と力強く肯定しています。組織でいえば、自分のリソースを惜しまず分け合う文化がチーム全体の活力になる、という教訓に通じます。

3. 利他は自己肯定を生む――“何のために生きる？” の答えです

歌詞のクライマックス「だから 君は いくんだ ほほえんで」は、「人のために動くことで自分も笑顔になれる」循環を示しております。やなせ氏は善行を道徳の押し付けとしてではなく、「心が温まる実感」として提示しました。
現代の子どもたちはアンパンマンの行動原理を理屈ではなく“気持ちよさ”で理解しています。大人が複雑な意味付けを求めがちなWhat are you?を超え、子どもは本能的にWho are you?を受け入れているのです。これはブランド戦略にも当てはまり、企業の存在意義が言葉より先に「体温」で伝わるかどうかがファン化の起点となります。

ビジネスパーソンへの示唆です

• 価値判断の軸をシンプルに保ちましょう
  変動する市場や制度の中でも、「困っている相手を助ける」という基準はブレません。
• まず“飢え”を満たすプロダクトを設計しましょう
  目に見える痛点を最優先で解決する製品・サービスは長く愛されます。
• 利他的行動は組織の心理的安全性を高める投資です
  自らの時間や知識を惜しみなく共有する習慣が、結果として自己肯定感と業績を同時に引き上げます。

結び――顔を分け合う経営へ

アンパンマンは決して万能ではありません。顔を差し出せば力が落ち、仲間の支援を受けて初めて再生します。この物語構造は、「リーダーが一人で戦い抜く」という幻想を否定し、持続可能なチームワークを教えてくれます。
「何のために生きる？」――その答えは意外なほど平易です。目の前の誰かの空腹や不安を、少しでも軽くすること。 その行為が巡り巡って自身と組織を温め、未来への勇気を生むのです。
やなせたかし氏のメッセージを胸に、私たちも今日、誰かの“お腹と心”を満たす一切れのアンパンを差し出してみませんか。

以上で朝礼を終わります。

Tweet