私が10数年来お世話になっている山崎税理士の新刊が出版されました。
タイトルは「あなたの会社の「次世代」大丈夫ですか?」ですが、事業承継のノウハウ本ではなく、堅実な事業承継をしていくために会社をギュッと強くしていく心得がまとめられています。
私がこの本をめくる中でドキッとした一節を紹介します。
~~~~~
「顧客のために」と考えるな!
顧客の立場に立つことの、もうひとつの落とし穴がある。それはセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文氏がよく言っていた、
「顧客のために」と考えるな!
「顧客の立場で」考えよ!
というとらえ方である。
言葉だけでは、「たいして変わらない、よく似たモンじゃないか」と思ってしまいそうだが、新規事業開発に携わっていると、この2つの違いがよくわかる。
たとえば、「世界の恵まれない子どもたちのために・・・・」「震災に遭った人たちのために・・・・」といった言葉のあとには、ごく自然に「自分たちに何が出来るんだろうか?」と続く。少しでもお役に立ちたいという奉仕的な支援をする際には、まったく問題はない。
しかし、「顧客のために」のあとにも、同じように「自分たちに何ができる?」という言葉を続けてしまうから問題なのだ。そこでは「自分たち」という制約と、「できる」という制約、この二重の制約が無意識のうちに潜んでしまっていて、それが「気付き」を邪魔するのである。
~~~~~
俯瞰してみると「顧客のために」は何か奉仕的な情緒を感じてしまう言葉だと思います。「自分たちに何ができる?」から「自分たちにできること」と続いていき、顧客の欲求よりも自分の情緒を満足させてしまっていることに気づかせないマジックワードだったのかもしれません。
「顧客の立場で」は「顧客の欲求を満たすこと」が目標になります。「自分たちができること」よりも達成ポイントは高く設定されます。ということは「自分たち」にこだわる必要はなく、アウトソーシングを含む「手段は無限」の可能性を考えていくことになっていきます。
駆け出し時代「お前はなに俳句ひねってんねん」と叱咤されました。センターピンをはずした自己満足の念仏のような報告をしたときにかけられた厳しい上司からの救いの言葉でした。「顧客のために」は俳句への落とし穴かもしれません。「顧客の立場で」無限の手段を繰り出す思考になっているか、ここが分かれ目です。
コメントを残す