ビフォーアフター社長日記

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「等価な価値を交換する取引」と「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」


 社会派ブロガーで著作も多数ある、ちきりんさんがご自身のリノベーションの経験を「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」を出版されました。僕の最初の興味は彼女はリノベ業者はどのようにして選んだのだろうということでした。このことを端的に表している文章があります。

「数十社から選んだ7社に相談に行き、そのうち4社に提案をしてもらい、依頼できると思ったのはC社だけです。(中略)1000万円近くかけて家中すべてゼロから作り直すプロジェクトパートナーを選ぶのだと考えると、(私の場合は)やはりこれくらい慎重になる必要がありました。」(148Pより)

 「プロジェクトパートナー」という言葉が気になったかと思います。

 「世の中の取引には、売り手と買い手が「等価な価値を交換する取引」と「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」があります。」(34Pより)

  前者は通常に消費する食物や衣服などのモノ取引です。「価格コム」なでに掲載される商品はこれのジャンルです。後者は例えば医療です。

 「病気を治してほしいです」 「はい、わかりました。20万円です」とはなりません。患者は自分の症状をできるだけ事細かに伝え、生活習慣や遺伝情報を伝え、診断による処方をできるだけ忠実に守ることで得られた結果があり、それを再度医療者はインプットして、次の処方を考え、「病気を治す」に導きます。

 このような取引を「共同プロジェクト型」と定義していて、1000万円のリノベーションはまさにこれにあたると言っています。また次のようなことも書いています。

  「このコンセプト(※)については、ごく自然に近くできる人と、なかなか理解できない人がいます。前者の多くは、自分自身も共同プロジェクト型の仕事をしている人です。」(35Pより)
(※補足…コンセプト=共同プロジェクト型)

 ちきりんさんは、もともとが経営コンサルタントですからまさしく共同プロジェクト型取引を行っていた人です。したがってリノベの検討を始めて即座に「これも共同プロジェクト型の取引だ」と直観されたようです。

 具体的な業者選択では、ご自身の要望を写真や文章を使って14Pの資料にして7社に提出し説明されています。7社の対応が様々なのは、この業界に関係しているものであれば「あるある」だと思いますが、おおらかに人、細かい人、マニュアル対応な人、顧客スクリーニングをする人(会社)、客より上司が重要だろうなと感じられる人。もちろんリノベ業者の方も様々な価値観と事業観で会社を経営していますのでバラエティに富むのは当然ですし、自らの事業を「顧客との共同プロジェクト」と思っていない人(会社)もいると思います。

 普段、リノベ業者の立場でクライアントにとって「マッチする顧客を創ること」にいつも頭を悩ませている僕にとって、リノベを依頼する人も業者探しが「こんなに大変なんだ」とあらためて理解できた本でした。どんな事業者にとっても、自身の仕事の取引形態が「等価な価値を交換する取引」と「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」かを定義することが顧客とのミスマッチをなくし無駄な労力やトラブルをなくす方法なのです。


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