ビフォーアフター社長日記

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顧客層と顧客から見たポジション、そして時流


 秋田県出身者としては、甲子園の興奮醒めやらぬ今日このごろです。
 今週の経営者勉強会では、大塚家具を取り上げました。大塚家具は8月7日、2018年12月期決算の業績予想を13億円の黒字から最終(当期)損益が34億円の赤字と発表しました。これで親子喧嘩の末に久美子社長に復帰して3年連続の赤字となり、決算短信には「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」を記載するに至ったというタイミングです。
 
 業績悪化の原因が「親子喧嘩によるイメージ低下」だということを会社自身も表明しているし、何となくそう思っている外野も多いと思います。実際、参加者みんなで資料を読んだり意見交換していくと、中小企業も学ぶべき本質があることに気づきました。

 1)好調時のビジネスモデル
   海外高級ブランド家具に代表される高級イメージ、きめ細かい接客、生活空間のコーディネート、大型ショールーム
   顧客層も、顧客視点でのポジションも他社とは「境界」ができていまいた。

 2)久美子社長が行ったこと(知っている範囲)
   会員制を廃止しオープンな店舗、イケア・ニトリを意識して特売で価格帯を下げる、中古家具買い取りなど顧客層を広げる
   顧客層も、顧客視点でのポジションも競合他社との「境界」が曖昧になったように思います。

 3)先代なら立て直せたか?
   小売業界はリアル店舗で品物を観て実際の注文は安いECサイトで行う「ショールーミング行動」に悩まされていて、大塚家具も例外ではありません。またECの普及は消費者に「選択肢」を増やすことになり、「高級家具は大塚家具」という顧客層は流入よりも流出が多くなっていたことが推測されます。またイケア・ニトリといった桁がひとつ違う価格でコーディデートできてしまう業態も出現してきました。こうした時流への対応が、先代社長が現在営んでいる家具店で出来ているかというとそうとは見えません。
   経験豊かなスタッフもいらっしゃるようですので、ご自身の成功体験は限られた商圏では継続可能かもしれませんが、大所帯を維持・発展できるかというと疑問ではないかと思われます。
 
 小売業界のショールーミングの課題を逆手にとって攻めているのがヨドバシカメラです。参加者一同でヨドバシカメラの考察もしました。ヨドバシカメラの店舗ではWIFIが無料で、eメールアドレス登録なども無しで快適に使えます。ショールーミング大歓迎という態度です。逆にショールーミングの顧客に自社ECサイトで買ってもらうために、価格帯はアマゾンなどを意識して下げ、自社配送で翌日には到着するし、アマゾン等では取り組んでいない高いポイント還元も実施して、Onlene to Offline を演出しています。

 ヨドバシカメラはメーカー商品を扱っているので、消費者は商品が決まったら価格や節約が購買動機になります。そのときの競合ターゲットはアマゾンです。日本のアマゾンには今のところ店舗がありません。消費者目線で「アマゾンで買うよりもヨドバシで買った方が得」に「境界」を作ることをされているのだと思います。

 勉強会では顧客層と顧客から見たときの自社のポジション、この両方に「境界」を作ることがポイントなのだという結論に至りました。また「境界」は常に時流の変化に侵され、いつの間にかぼんやりとしてきます。環境変化と変化への対応を急ぎ、「境界」を明瞭にしていく不断の努力が必要だいうことは、企業規模や業種に関わらず重要だと改めて思いました。

 (ここから先、余計ですが)ところでこのフレームで考えると、決勝まで吉田投手1人で投げきり3年生10名中9名のスタメンを変えないで戦ってきた金足農業のスタイルは、思いっきりオールドモデルで他校とは「境界」が際立っていましたね(笑)。競合ターゲットが大阪桐蔭かということそういうわけではなく、秋田では初戦の鹿児島実業に勝ったときから「号外」が出る大ニュースでしたので、すべての出場校が競合でした。連戦の中、猛暑という環境変化は生身の北国の高校生には酷だったのだと思います。本当にありがとう。おつかれさまでした。


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