日銀は7月20日の金融政策決定会合で、物価上昇率2%の目標達成時期の1年先送りを決めたらしい。
異次元の金融緩和政策により2年以内に2%の物価上昇を目指すとの指針が表明されたのは2013年4月なので、もうすでに丸4年が経っている。
この間、海外の都市を往復するたびに思うのは「日本は(物価が)安いな」ということだ。
価格コムという価格比較サイトがある。家電製品など安値順に販売店が並んでいる。
取扱に不安のない人であれば、当然価格比較が安い方が消費者にはメリットがある。
顧客価値=製品/価格
機能や仕様が一定の工場製品を購入する場合には上の式が正しい。顧客メリットはデフレのデメリットよりも大きいと思う。
しかし、この式を用いて顧客の不利益を生み出す品目もある。そのひとつが住宅リフォームだ。
リフォーム関連のキーワード検索において、見積比較のポータルサイトが検索結果に多数現れるようになっている。
消費者目線では、工業製品と同じ感覚に誘導される。
顧客価値=リフォーム工事/価格
問題は「リフォーム工事」は現場で仕様を決める工事なので、工場出荷で一定の機能や仕様が決まっている工業製品とは事情が違ってくる。
仮に下記の式が成り立つとする。
顧客価値(1)=リフォーム工事(100)/価格(100)
A社は提出見積が100で、B社は80だったとする。顧客の頭には
顧客価値(1.25)=リフォーム工事(100)/価格(80)
が思い描かれる。
しかし実態は仕様ベースで考えると
顧客価値(0.875)=リフォーム工事(70)/価格(80)
であることもある。
価格比較サイトは悪くないが、消費者はリフォーム工事の仕様を一定にして、見積を検討して初めてメリットを得ることができることを、住宅リフォーム事業者は消費者に伝達して理解していたくことが必要だ。
そうしないと「悪貨は良貨を駆逐する」ことになりかねない。
品質保証と仕様(材料と手間)の組み合わせで、倫理的かつ論理的に見積を説明することが、住宅リフォーム営業の最良のクロージング・プレゼンテーションになっていく。
またデメリットだらけの住宅リフォームのデフレ対策にもなっていくのだと思う。
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